脂肪幹細胞治療
体性幹細胞を材料に行う治療

脂肪組織から脂肪細胞を除いて、幹細胞を含む細胞群(=SVF)を取り出し、患部に注射します。脂肪幹細胞治療とも呼ばれ、海外ではSVF治療として変形性膝関節症の新治療としてすでに期待されている治療法です。
投与する幹細胞量は培養幹細胞治療より少ないですが、他の細胞の相互作用もひざ関節に対して効果を発揮すると言われています。

どんな治療?

 患者さんのお腹や太ももなど、脂肪がたくさんある部位から材料となる脂肪組織を採取します。そこからセリューションという医療機器を使って幹細胞を含む細胞群を抽出し、ひざ関節内に注射するという流れです。トータルだと3時間ほどの処置となります。

脂肪幹細胞治療の流れ

培養幹細胞治療の流れ | 所要時間:3時間ほど | 入院は不要(日帰り治療) | 脂肪組織の採取(30分〜1時間) → SVF抽出(約2時間) → SVF注入

脂肪幹細胞治療

  • 海外では期待されている新治療
    海外では
    期待されている新治療
  • 入院のいらない日帰り治療
    入院のいらない
    日帰り治療
  • 脂肪採取と同日に治療が可能
    脂肪採取と
    同日に治療が可能

どんな効果が期待できる?

脂肪幹細胞は、炎症の抑制に働くことが近年の研究で明らかになっています。また、軟骨を守ったり修復に働く物質の分泌も確認されていて、変形性膝関節症の進行を遅らせることが期待できます。
実際にこの治療を受けた1114人の経過を追跡調査したところ、ほとんどの患者が3か月〜1年にかけて次第に改善されたそうです。具体的には、治療1年後に63%の患者において、効果を評価する指標のスコアが少なくとも75%改善、91%の患者では少なくとも50%の改善が記録されたと報告されています。

脂肪幹細胞治療が痛みに与える影響

培養幹細胞治療が痛みに与える影

痛みや鎮痛剤の量、関節の硬さなど、5つの指標の平均値で改善が見られる

脂肪幹細胞治療後にひざ軟骨で確認された変化

培養幹細胞治療後にひざ軟骨で確認された変化

治療前後で軟骨が滑らかに変化していることの分かるMRI画像も少数ながら報告がある

Michalek J, et al.:Cell Transplant. 2015 Jan 20.

脂肪幹細胞治療に関する文献