PRP治療
血液を材料に行う治療

患者さんの血液から、多血小板血漿(=PRP)という血小板を多く含む液体成分を取り出して、患部に注射する治療法です。血小板から分泌される成長因子という物質の修復を促す働きや、疾患によってはPRPに含まれる白血球の働きも利用することで、自己修復作用を高め、早期治癒を図ります。

どんな治療?

治療のため、まず行うのは採血です。片ひざあたり30mLほどの血液を通常の採血の要領で確保し、専用のキットを用いて遠心分離を行います。すると血液が成分ごとの層に分かれるので、血小板が豊富に含まれる部分(PRP)だけを抽出することができるのです。これを注射器でひざ関節内に注入します。
患者さん自身の血液を利用すること、手術を行わないことなどから、重篤な副作用が起こりにくい治療法と言えるでしょう。

PRP治療の流れ

PRP治療の流れ

PRP治療の特徴

  • スポーツのけがや変形性膝関節症に有効
    スポーツのけがや
    変形性膝関節症に有効
  • 注射だけでできる手術しない治療法
    注射だけでできる
    手術しない治療法
  • 採血と同じ日にひざに注射できる
    採血と同じ日に
    ひざに注射できる

どんな効果が期待できる?

PRPを局所的に投与することで、患部で自己修復作用が高められます。これにより、靭帯や腱の損傷では治癒を早める効果が期待できます。
変形性膝関節症に対しては、痛みの緩和や関節機能の改善作用が見込めます。ヒアルロン酸注射に対する有意差を報告する学術論文も多く、例えば変形性膝関節症の初期患者を対象に効果を比較したところ、治療後3〜6ヵ月において統計的に有意な差が確認されたとの報告もあります。

ヒアルロン酸とPRP投与後の痛みの変化
(VASスコアによる比較)

ヒアルロン酸とPRP投与後の痛みの変化(VASスコアによる比較) Kilincoglu V, et al.:Int J Clin Exp Med. 2015 Oct 15;
8(10):
18807-12. eCollection 2015.

変形性膝関節症の初期患者にPRPとヒアルロン酸を1週間おきに3回投与したところ、痛みの改善でPRPに有意差が見られた

ただ、PRP治療は調整方法によって成分の内容が異なります。例えば血小板以外に含まれている白血球の濃度によっても適した疾患や効果に違いが生じると言われているのです。一定の効果は確認されていますが、何の疾患においてどの調整方法がより最適かということについては、現在も国内外で研究されています。

PRP治療に関する文献