培養幹細胞治療
体性幹細胞を材料に行う治療

体の至るところから採取可能な脂肪を材料に治療する方法です。同じ脂肪を使っていても細胞群を投与する脂肪幹細胞治療に対し、培養幹細胞治療では幹細胞だけを体外で何百倍にも増殖させてから、ひざ関節内に注入します。少ない脂肪量で大量の幹細胞を患部に届けられる点が、この治療法のメリットと言えるでしょう。

どんな治療?

まずは材料の脂肪をお腹や太ももから採取しますが、20mLと大さじ1杯強ほどになります。そこから取り出した幹細胞を人工培養するため、ごく少量の脂肪から抽出した幹細胞でもまかなえるのです。
そのため局所麻酔で採取できますし、出血や術後に考えられる筋肉痛のような鈍痛も個人差はありますがより抑えられ、高齢の方にも負担の少ない治療となります。重篤な副作用も報告されていません。

培養幹細胞治療の流れ

培養幹細胞治療の流れ

培養幹細胞治療の特徴

  • 脂肪採取が少しなので体に低負担
    脂肪採取が少しなので
    体に低負担
  • 培養するのに6週間ほどかかる
    培養するのに
    6週間ほどかかる
  • 幹細胞の保存ができ複数回の投与が可能
    幹細胞の保存ができ
    複数回の投与が可能

どんな効果が期待できる?

実際の効果としては、変形性膝関節症の痛みの長期的な軽減が確認されています。これは、脂肪幹細胞の炎症を鎮めたり、疼痛を抑える作用が関係していると考えられます。幹細胞の数が多ければいいというわけでもないようで、どれほどの培養が最適かは現在も研究がすすめられているようです。
また軟骨を保護したり修復したりする働きも期待でき、少数ではありますが、そういった症例も報告されています。

培養幹細胞治療後にひざ軟骨で
確認された変化

培養幹細胞治療が痛みに与える影

培養幹細胞が痛み評価スコア(WOMAC)に与えた影響/幹細胞の量に関わらず、時間とともに痛み評価スコアが下がっている(痛みが緩和されている)ことが分かる。

培養幹細胞治療が痛みに与える影
培養幹細胞治療後にひざ軟骨で
確認された変化

培養幹細胞治療後にひざ軟骨で確認された変化

治療前(左)に比べ、治療4ヵ月後(右)には軟骨(着色した部分)の厚みが増していたケースも存在した。

Pers YM, et al. : Stem Cells Trans Med
5:847-56, 2016

培養細胞治療に関する文献