多くの人が悩む
「変形性膝関節症」とは?
加齢とともに膝の痛みを感じるようになったなら、まず疑うべきは変形性膝関節症。もし日本人全員を調べたら、5人に1人がこの疾患に当てはまると試算されるほどです。詳しくご説明しましょう。
中高年の約半数は、変形性膝関節症
東京大学の研究グループの報告によれば、日本の中高年の変形性膝関節症の有病率は、男性 42.0%、女性 61.5%とのことです。この調査によって、変形性膝関節症は女性に多く、年齢ととともに増加傾向にあることが明らかにされました。変形性膝関節症は、ひざの痛みを抱える中高年世代の方なら、真っ先に疑うべき疾患と言っても過言ではないのです。
変形性膝関節症は
不可逆的な進行性の疾患
変形性膝関節症は、ひざ関節の軟骨に異常をきたすことに端を発する疾患です。慢性的なひざの炎症と、それに伴う痛みに悩まされるのはもちろん、末期にはひざ関節そのものが徐々に変形していきます。そして、一度変形してしまった関節は、二度と元の状態に戻すことはできません。
症状としては、軟骨や半月板が摩耗、断裂、あるいは消失するなどして、大腿骨と脛骨が直接ぶつかるといった現象が起こり、その結果ひざに水が溜まり、痛みや腫れなどが生じます。痛みの度合いは人それぞれですが、膝の側面に負荷がかかりやすいO脚やX脚の人の場合、より強い痛みを感じるようです。
ではなぜ、加齢とともにひざ軟骨が少なくなっていくのかですが、これについてははっきりした理由がわかっていません。長年蓄積された物理的なストレスや、老化や閉経に伴うホルモンバランスの異常など諸説あります。
変形性膝関節症になったら?
保険診療では、疾患の進行度によって内服薬、ヒアルロン酸注射、手術療法などから治療法を選択することになります。しかしこうした治療では、変形性膝関節症の進行を食い止めることはできません。
その点、再生医療はこのような状況を一変させる可能性がある、新しい治療法です。再生医療では、疾患の進行を食い止める、または正常な状態に近づけることを視野に置きます。